「深川 クラシッ句」受賞作品の発表 ~ブロッサム・フィル 9/11公演より~

2011年9月11日にティアラこうとうにて行われた ブロッサム・フィル「第6回定期演奏会」 にて開催した“俳句”と“クラシック音楽”とのコラボレーション企画 『深川 クラシッ句』 へ、たくさんの皆さまからご応募をいただきまして、誠にありがとうございました。
20日に応募を締め切り、25日に撰者・浦川聡子氏を招いてブロッサム事務所にて選出会を行いました。
ご応募いただきました全 57 句(ブロッサム関係者除く)の中から、見事受賞された作品を、浦川氏による選評と共にここに発表いたします。


★ 金 賞 ★

  • 雁行けり ヴィオラの音の 極まりて (鷲谷 正清さん・77歳)
  • 【選評】ヴィオラという一つの楽器に焦点を絞ったのがよかった。ヴィオラは弦楽器の中では中音部を支える目立たない楽器であるが、そのヴィオラが極まるようすを描くことで、演奏会全体の緊張感を表している。熱気あふれる会場と、屋外の雁渡る空との対比が見事である。(季語=雁)

[景品]ブロッサム・フィル「次回演奏会(2012年3月11日)」ペアチケット(8,000円相当)


★ 銀 賞 ★

  • 服は黒 きこえてくるのは 色んな音 (矢吹 優衣ちゃん・8歳)
  • 【選評】演奏者の服装はみな黒であるが、そこから聞こえてくる音は、いろいろな音だったという。8歳の方が作った句。ここには季語が入ってはいないけれど、発見が楽しく、素敵である。

  • フルートよ どこまでも行け 芒原 (鷲谷 康子さん・72歳)
  • 【選評】揺れる弦楽器群が、広大な芒原のように感じたのであろう。その芒原を駆け抜ける一筋のフルートの音――。作者の心象風景が句によく表れている。(季語=芒原)

[景品]「季節の音楽会~秋音~」ペアチケット(4,000円相当)


★ 銅 賞 ★

  • 指揮棒の先で 湖 月沈む音がする (上原 茜さん・19歳)
  • 【選評】指揮者がタクト(指揮棒)を振ると、そこにさまざまな光景が現れる。作者にとって、この曲から喚起されたのは、湖であり、月であったのだ。沈む月に音を感じるのは、作者の鋭い感性。五・七・五の定型とは異なる一句。(季語=月)

  • 深川の 白夜に映えし 秋茜 (斧田 憲明さん・36歳)
  • 【選評】今回は北欧プログラムだったので、「白夜」という言葉が浮かんできたのだろう。白夜の国に心を置きつつ、目の前で舞う秋茜が懐かしく美しい。(季語=秋茜)

  • ピアノの音 弾けろ空へ 流れ星 (安田 成美さん・18歳)
  • 【選評】ピアノの音が夜空まで届いて、流れ星のようにきらきらしている。夜空全体に、ピアノの音が鳴り響いているようだ。(季語=流れ星)

[景品]「季節の音楽会~秋音~」チケット(2,000円相当)


★ ブロッサム賞 ★

  • 北国の 空と大地を 秋の旅 (飯田 太郎さん・69歳)
  • 【選評】音楽を聴きながら、作者は北国を旅する心地だったのだろう。ひろやかな情景である。(季語=秋)

  • 身を包む 余韻にひたりて 月眺(なが)む (近藤 佳代さん・41歳)
  • 【選評】コンサートの後も、心に余韻がのこっているのだろう。月光からも、音が聞こえてきそうだ。(季語=月)

  • 秋間近 鳴り響く音 天に舞う (矢吹 由美さん・39歳)
  • 【選評】澄んだ空に音が鳴り響いているという、秋らしく繊細な句。(季語=秋近し)

  • 音の世で 広く深い 秋の色 (近藤 佳奈さん・13歳)
  • 【選評】音楽で、広くて深い秋の色が表現できるんだという感動。13歳の方の作品。(季語=秋の色)

  • 数多(あまた)なる 魂(みたま)に祈る バッハなり (舩渡 和代さん・78歳)
  • 【選評】福島が故郷であるというソリストの石川さんが、「本当は亡くならなくてもよかった方のために」とお話になり、鎮魂のためのバッハのプレリュードを弾かれた。思わず涙がこぼれた。 作者も同じ思いだったのだろう。この句には、いわゆる季語がないが、内容に深い感銘を受けた。

[景品]「ブロッサム ティータイム コンサート」招待券(900円相当)

◎景品のお届けは、1週間以内に応募用紙記載のご住所へお送りさせていただきます。


撰後に・・・
コンサートを聴いて俳句を作るという初めての試み。
コンサートでなくても、俳句を作るのは初めて、という方が多かったのでは、と思う。
音楽を俳句に書き留めるのは難しいが、俳句にすることで、感動は消えずにずっと心に残る。
1年後、2年後、5年後――作った作品を見れば、コンサートのことがたちどころに蘇ってくる。
美しいヴァイオリンの音、ピアノの音、いっしょに行った人のことまでも。
                                             浦川 聡子

撰者:浦川 聡子(うらかわ さとこ)

1986年より俳句を始める。1993年第11回現代俳句協会新人賞受賞。
日本文藝家協会・現代俳句協会会員。国際俳句交流協会評議員。
現代的な瑞々しい感覚を持ち、ことに音楽を題材にした作品には定評がある。 句集『クロイツェル・ソナタ』『水の宅急便』。
代表句に 「トランペットの一音♯(シャープ)して芽吹く」「無伴奏組曲夜の枇杷太る」など。


    【9/11公演にて詠まれた句】
  • 弦楽の揺れて白夜の森となる
  • 地底より鳴りし打楽器霧深む
  • 秋澄みて指揮者の腕(かいな)浮遊せり


  第1句集『クロイツェル・ソナタ』

ブロッサムより

  • オケの音が ティアラの秋を 揺らすかな (ブロッサム・フィル 常任指揮者:西谷 亮)
  • 北欧の 熱き曲弾く 夏の果(はて) (ブロッサム・フィル コンサートマスター:粟津 惇)
  • 三楽章 最後の一音 秋の波 / 終演し 奏者と過ごす 長き夜 (「深川 クラシッ句」企画:今野)
  • 秋の日の ラフマニノフの 音遥か (「Blossom」誌製作:舩渡)

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